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札幌市のこだま税理士・行政書士事務所のブログ
令和5年の相続税法改正 有利になるのはどちらの制度?
コラム
令和5年度税制改正によって、令和6年1月1日以降の相続に関する税金が大きく変わります。
●1年間に贈与を受けた財産に課税される「暦年課税制度」(※後述)
●一定の要件のもとで納税者が選択できる「相続時精算課税制度」(※後述)
これらの改正でどちらの制度が有利になるのでしょうか。それぞれの制度について詳しくみていきましょう。
通常は贈与には暦年課税制度が適用されます。
今までは、相続人が被相続人から相続開始前3年以内に暦年課税に係る贈与によって取得した贈与財産があるときには、その贈与財産は相続財産に加算され、相続税の課税対象となっていました。
◆暦年課税制度の改正
適用時期:令和6年1月1日以後の贈与に係る相続税について適用
改正内容:
通常は贈与には暦年課税制度が適用されます。
今までは、相続人が被相続人から相続開始前3年以内に暦年課税に係る贈与によって取得した贈与財産があるときには、その贈与財産は相続財産に加算され、相続税の課税対象となっていました。
◆暦年課税制度の改正
適用時期:令和6年1月1日以後の贈与に係る相続税について適用
改正内容:
①相続開始前贈与の相続財産への加算について、加算期間が7年(現行:3年)に延長されます
②延長する4年間に受けた贈与は相続財産への加算額から総額100万円が控除されます
②延長する4年間に受けた贈与は相続財産への加算額から総額100万円が控除されます

◆相続時精算課税制度の改正
適用時期:令和6年1月1日以後の贈与に係る贈与税又は相続税に適用
改正内容:毎年、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円が控除されます。相続財産への加算額は、基礎控除額を控除した後の残額となります

◆暦年課税と相続時精算課税の有利不利
推定相続人である子や孫等に贈与する場合で、相続開始まで7年以内と見込まれ、毎年生前贈与を行う場合は、基礎控除110万円ずつが控除されるので相続時精算課税制度が有利となります。相続開始まで7年を超えそうな場合は、資産、家族構成などの様々な状況によって検討が必要となります。
推定相続人以外の孫や子どもの配偶者等に贈与する場合は、生前贈与加算の適用がなく贈与税のみで課税関係が完了するため、相続までの期間に関係なく暦年課税制度が有利となります。
◆暦年課税制度
内容:届出が必要なく、通常適用される制度。毎年1月1日から12月31日までの1年間の贈与額を合計し、基礎控除額110万円を差し引いた金額に税率を掛けて贈与税額を算出します
◆相続時精算課税制度
要件:
①贈与者は60歳以上の父母や祖父母、受贈者は18歳以上の子や孫
②最初に贈与を受けた年の翌年3月15日までに届出が必要
内容:贈与時は贈与税が非課税になりますが、相続時に非課税にした分を精算して課税する制度です。
生涯で2,500万円までは贈与税を納めずに贈与を受けることができます(2,500万円を超える部分は一律20%)。
その後、贈与者が亡くなった時に相続財産の価額に相続時精算課税を適用した贈与財産の価額(贈与時の価額)を加算して相続税額を計算します。2,500万円の特別控除額を超えて支払った贈与税相当額は相続税額から控除します。控除しきれない金額は還付を受けることができます。
注意:相続時精算課税は、受贈者(子または孫など)が贈与者(父母または祖父母など)ごとに選択できますが、一度選択すると選択した年以後贈与者が亡くなる時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。
小向